トリビュート・コンピレーションシールアルバムを発売します。
まえがき
この企画を始める少し前、mkさんよりこちらの名刺シールをいただいた時にビビっと来るものがあったんですよね。 マイナーシールのグッと来る部分が凝縮されていて、実際に手にすると妙なアート的保有感があって凄く魅力を感じるなと。
もしマイナーシール感を狙ったオリジナルであれば、相当センスいいなと思って聞いてみたところ、「夜行ドッキリマンという、当時の駄菓子屋の引き物で、紙人形みたいなオモチャのデザインを模写したもの」なのだそう。
あ~~そっか~~~やっぱりこの”味”って当時の人にしか出せないものなのかな・・と妙に納得がいったのと同時にふと、
こういう“当時のテイスト“をオリジナルで生み出せないだろうか?
という興味が湧いてきました。 “当時のテイスト風”とか“パチモン風”な下手絵ジャンル的作品は今の自作シール界にも存在するのですが、例えばこの「格闘キング」のイラストって決して下手ではないですよね。技術は一流。 でも昭和感が凄くある。 下手なんじゃなくてテイストが違うだけ。
そこで思いついたのが、
その世代のイラストレーターさんや漫画家さんに依頼してみるのはどうだろうか?
という作戦です。 当時このようなイラストを担当されていた方と同じくらいの年代の方であれば、自然と昔懐かしのテイストが湧き出るのでは?と考えました。
おそらく当時だってビックリマンのおまけシールブームで各社がイラスト描ける人材を探しまくり、ビックリマンを見せて「こんな感じの描け!お前のテイストでいいから!」と無理やり量産したのではないかと勝手に思っています。 なのでビックリマン等のおまけシールに知見がなくてもいいんじゃないかと。
という事で、60代前半の元漫画家志望の方でオールドスクールな絵を得意とするという方を探し出し、「かくかくしかじか・・」と説明をして依頼を承諾いただきました。 ポートフォリオが一枚しかなくテイストは全然違うけどそれが逆に楽しみでもあります。 これが2022年の夏の話です。
いざ、依頼!
2022年8月15日
依頼内容は、様々な当時のマイナーシールの参考画像を添えつつ、
- 宇宙戦争・未来の設定
- 闘いを連想させる事が大事なので、剣等の武器を持っている。
- 同様に、睨みつけるような顔つき・バトル中のような構えのポーズ あたりは意識したい。
- 秘伝忍法帳の白髪のように、インパクトのある独創性があればあるほど良い。ツッコミどころが多い方が良い。
というくらいで自由に描いていただくというのはいかがでしょう
という内容で依頼しました。
持論ですが、昔って宇宙やSFに対する憧れってもっと強くなかったですか? 多分”調査した結果、移住は難しい“といった現実や科学の限界を明確に知る前だったからもっと希望や夢があったのだと思います。 だから宇宙戦争っていうだけでちょっと昔っぽさが出るかなと思ったのと、想像でしか描け無いので否応なしにオリジナリティ・独創性を出さざるを得ないという2本軸が作戦です。
魔霊大戦(ドラゴンファイヤー)あたりのテイストになると良いなと。
さあ、どんなのが生まれるのか? これだけ世代が違えば、意外なものが出来るに違いない。
きっと思いがけないものが来る。 心躍りました。
そして、数日後にあがってきたのがこちら! 意外なものこい!
意外過ぎる!!
宇宙戦争の設定わい!・・というツッコミは置いといて、初手って普通はもっと主人公っぽいキャラクターで来ると思いきや、脇役感満載のキャラが爆誕。
うーん、、これはオリジナリティが過ぎるかなと一瞬思ったのですが、何度も見返しているうちに狙っていた”味”は出ているな?とも思い始めました。
特に注目したのは髪の毛の描写です。
頭に輪郭がなくて毛がこのように生えている描写、昔懐かしじゃありません?? マーシーとかチェッカーズの平成レトロなイラストの毛ってこんな描写だったような・・
こんなのとか?
これはひょっとするとひょっとするかもしれない・・両脇のツインウルフも独創的で良く見えてきました。 そもそも誰にも描けない・思いつかないという点は凄く大事で、
こうしてみると、お守りキャラとか、ノーマルキャラとしてはアリで当時のおまけシール感が出てますよね。 何故か分からないけど「鈴木君と佐藤君」みたいなタイトルのスナック菓子を思い出しました。
コンセプト通り、この令和で唯一無二のキャラクターが誕生した事は間違いありません。
しかし、冷静になるとやっぱりこの”たんま神父”が主人公のシールシリーズが現代のシールコレクターに受け入れられるかといったらNOだ。 これはもう何作かみてみたい。
再度依頼をしてみました
という事で、追加依頼。
- 主人公として相応しいキャラ
- 最強の大魔王キャラ
この2キャラを、多数の参考画像等を添えてマイナーシールの中でも特に頭身高め(秘伝忍法帳やドキドキ学園くらい)とリクエストしてみました。
さあ、今度は結構細かく色々指定したので流石にすね毛が生えていたり目が細いキャラにはならないのかなと。
いくら世代が違うといっても手塚治虫や藤子不二雄らの影響は受けているはずなのだから。
どうなるでしょうか?
そして、数日後あがってきたのがこちら!
主人公っぽいのキター!
聖闘士星矢の一輝みのあるキャラクターが誕生しました。
ただ頭身は高くないのと顔が赤井英和っぽいのはリクエストと違います。
あと、「たんま神父」に比べるとクレイジーさが減少してしまったなというのが結構残念かも。 型に嵌らないのがイラストレーター様の魅力なのに、型に嵌めようと要望を伝えすぎて良さが出しきれていないのです。 難しい・・
修正案として「頭身高めでもうちょい若く見えるように」とだけ伝えてみた所、
こちらがあがってきました。 色使いとかにオールドセンスは感じるのですがやはり「たんま神父」は超えてこなかった。
これ以上どうディレクションしたら良くなるのかが見えてこない。 うーん、もはやここまでか。
強そうな名前を付けて、レイアウトバランス等をアレンジするとちょっと良くなりました。
しかし検討を重ねた結果、シリーズ販売には至らないと判断しここで一旦中断。
ペッキャオをリメイクしてみた
2022年11月12日
さて、せっかく描いていただいたのにこのままボツにするにはもったいない味わいのあるペッキャオ。 何となくつけたネーミングにも愛着が湧いてきました。
だからといってこのままシールシリーズ展開・販売するのはやはり在庫を抱えるリスクが・・。
・・ふと思ったのですが、装備や色遣いはやっぱり創作性があるわけじゃないですか。
じゃあ、ペッキャオをリメイクしたらどうだろうか? この際、現役シールクリエイター様の力でパキッ!っとさせたら面白いかもしれない。
※リメイクの件をイラスト―レータ様にお伝えした所、「どうなるか楽しみ」と快諾いただきました。
いざ、ご依頼
さあ、誰にお願いするか?
単発案件だし、いつもお願いしているイラストレーターさんと違っても良い。
そういえば男子の正統派ヒーローを得意とする方ってあんまり思い浮かばないな・・可愛いレディ、アングラなキャラ、毒のあるキャラ、クリーチャー等はそれぞれ得意な方が思い浮かぶけど、正義の男子キャラ得意だよって案外少ないのかもしれない。
思いつくのは、あの人だ・・
そう、奇跡プロジェクトのたーくんさん。 彼ほどペッキャオリメイクを最初に依頼するのに相応しい人はいないのではないでしょうか?
という事で、ご依頼してみた所OKをいただき、しかも完成がとても早かったです。
そのイラストがこちら!
うおおおおーーー! 凄い!!!!
マジか~凄すぎるぞ。 想像はしていたものの、想像以上の衝撃がありました。
ここまで正統派のカッコイイオリジナルヒーローってなかなか生まれないんじゃないですかね?
ビックリマンだけでなく、聖闘士星矢・ドラゴンクエスト等、僕たちがまだピュアだった頃に影響を受けたエキスが凝縮されているなと感じました。小学館?集英社?みたいな。
盾のリメイクがペッキャオのそれそのものでカッコよくなっているのがお気に入りポイント。 後はさりげないヘッドロココLOVEが足されているのも炎=フェニックス的な解釈としてニヤリとさせられます。
いやー凄い作品が誕生してしまいました。
この企画面白いな、もうちょっと他の方にも依頼してみよう。※もうこの時点で「マイナーシール」の事は忘れています。
炎受神ペッキャ子誕生
・・という事で、トキメキシリーズのチョ麻Cop.氏にお願いしました。
炎受神ペッキャ子。
これでどのくらい自由にリメイクしても良いのか? どのくらい自分のテイストで良いのか?が伝わるお手本になったと思います。
次は全然違う畑の方に依頼してみたい。
ついに、あのカードを切る時が来たか・・!
炎神ペッキャオ誕生
続いてご依頼させていただいたのは、シール業界では絶賛大活躍中のスタジオヴィガのモト様。 このブログを読んでいる方なら”シール業界”に詳しい方も多いと思いますが、それでも(絶賛活躍中?でも知らない‥)となるかと思います。でも多くの方が氏のイラストを見かけた事があるはず。
詳しくは書けませんが、見る人が見れば何を実際に手掛けている者なのか、分かる人には分かるこのフォルム。 しかも「あのシリーズ」には無い、ワルっぽさがあったのが意外でパワーアップ感アリアリです。
フォントも特徴的な形にしていただきました。
https://www.st-vigor.co.jp/1904/
↑スタジオヴィガ様のHPの記事にはとある名刺シールも掲載されています。モト様の別のイラストも掲載されています。
そして1年後・・
表
裏
そして1年後・・このようなコンピレーション・トリビュートアルバムとしてまとまりました。 (アルバム=48㎜シールのセットです)
CDジャケットサイズの表紙デザインをぱいせん様に。そして、
- キセキプロジェクト
- チョ麻Cop.(スタジオAGAWA)
- モト(スタジオヴィガ)
- CHANMEN
- マウンテングラフィックス
- スタジオメルファン
- Tractor inc.
という面々に「ペッキャオをリメイク」していただきました。(お声かけ順)(メルファンは下条様)
- 赤盤(48㎜スクエアプリズム 7枚+α)3,000円
- 青盤(イラストは赤と同じく、それぞれに特殊印刷アレンジを施したもの 7枚+α)10,000円
という2枚同時発売です。
青盤はリミックス盤のようなものと思っていただければと思います。せっかくだから印刷の方もこだわろうと力んだ結果、力入り過ぎて、「おまけシールのそれと言えるのだろうか・・」という所まで来てしまいました。 定番の箔押し等もありますが、AGAWA作品では初出しの印刷表現が2種あるなど「AGAWA的デザインの引き出し」みたいな感じです。
赤盤の方がイラストの良さが伝わり作品としてはまとまっていると思います。
販売に関して
2024年1月28日(日)21時~
- 青盤・赤盤共に1人1点まで(商品到着後は再びお買い求めいただけます) アベマサマの方ではひょっとしたら同一住所は省いていなかったのかなと思われますが当SHOPではご家族名義での重複購入等はキャンセル扱いとなりますのでご注意ください。入金確認時に気づく為、返金作業等がかなり手間がかかります。
- 早い段階で売り切れた場合は、「商品名(発送が遅い)」に切り替えて一定期間注文を受け付けます。(お届けは数か月後) Xの到着報告画像等で中身を確認してからでも間に合うくらいの余裕があります。
- 青盤の方は「売り切れ→再生産」があった場合、後日単品バラ売りも検討しています。(各単価は大分上がります) 最低ロット数の差による在庫販売が主な目的なので各シールの在庫にバラつきがあります
↑販売ページはコチラ
発売前の情報は以上です。
後日、追記します
特殊印刷についてのブログ記事を追加予定しています。その際に以降のクリエイター様方のご紹介もさせていただければと思います。